半世紀も経てば、土器とスマートフォンは同じガラスケースの中に展示されていても、まったく不思議じゃないだろう。
バスセンターから歩き出すと、雨はだいぶ弱くなっていた。
日本の端っこまで来てしまったことを、交番を見て知る。
なんと、ロシア語の表記。
気を取り直して、散策開始。
釧路駅周辺には、二つの市場がある。釧路和商市場と、くしろ丹頂市場だ。
前者が、どちらかといえば観光客向けの市場らしいが、まだ開店していなかったのでスルー。
まず向かったのは、フィッシャーマンズワーフMOOだ。
↑明らかに奇妙な建物。
↑積み木みたいだ。
こちらが、毛綱毅曠が設計した建築である。
ぼくは、毛綱毅曠に詳しいわけではない。学部の近代建築史の授業で、日本の近代の建築家の紹介の中で触れられていたのを覚えている。
授業で紹介されたのは毛綱毅曠の代表作である「反住器」。
母親のために設計した住宅で、箱が3重にかぶさって住空間を作っている。
それの何を先生が指摘していたかは覚えていない。ただ、強く印象に残った。
中に入ろうとするも、まだ営業時間じゃないので、おとなしく散策続行。
フィッシャーマンズワーフの隣には、釧路川が流れ、そこに大きな橋がかかっている。
奥に見える丘の上に登ってみようと思う。
↑立派な橋。正面に見えるのは、毛綱毅曠の設計したホテル。
↑河口の方を見る。なんだか知らないけど、蟹工船が思い出される。
↑丘の下についた。花壇は都計になっている。
↑驚くべきは、ラウンドアバウトになっていること。ラウンドアバウトとは、外国で見られる信号機を設置しないで交通を捌く交差点の形式。ロシアが近いからなのか、珍しい光景。
↑出世坂、と呼ばれる坂を登ると丘の上の公園に着く。
↑丘の上からの形式。見事な曇り空。
↑公園。
と、冗長になってきたので、ここからは建築単位でハイライトしていく。
①日本銀行釧路支店
設計:西村好時
竣工年:1952(昭和27)年
形式美を感じる建築。丘の下に経っていて、先ほどの写真にもちらちら映っていた。重厚な銀行建築に惹かれた。銀行機能は移転しており、現在は空き家状態みたいだ。
②釧路センチュリーキャッスルホテル
設計:毛綱毅曠
竣工年:1987年
↑船をイメージして作られた上層部。
↑内部空間も船室が意識されている。こちらは扉のデザイン。
とても綺麗なホテルで泊まってみたいと思った。船を意識したデザインを随所に感じることができた。先日見た「シェイプ・オブ・ウォーター」の雰囲気を感じた。
③フィッシャーマンズワーフMOO
設計:毛綱毅曠
竣工年:1989年
↑どことなく、海底2万マイル感がある。
↑横には、無料の植物園が付いている。
↑玄関の証明のデザイン。
↑大きな倉庫のような内部空間。
↑ゴツゴツしすぎている。
一通り散策し終えて、市場の営業時間になったので駅の方向へ戻った。
↑釧路和商市場
↑勝手丼が名物と聞いて食べてみる。ご飯を買って、具材はお店を回って集めるというのが勝手丼だ。
↑ぼくの勝手丼。うますぎてびっくりぎょうてんはなびろりん。
この勢いで、お昼ご飯を紹介しとくと、、、これだぁ、1、2、3!
↑さんまんま
釧路の料理人が編み出した料理。さんまの蒲焼の下には、しその葉とごはん。美味美味。
そして、最後に釧路市立博物館へ。
↑これは博物館ではない。釧路市立幣舞中学校だ。毛綱毅曠設計。
↑こちらが博物館。毛綱毅曠設計。
釧路についての歴史や自然についての展示。非常にわかりやすく、ボリュームもたくさん。
これを見て、釧路湿原に行かないわけにはいかないと思い、走って釧路湿原へ向かった。
↑奇跡のショットがとれた。手前に写るのは、そう、丹頂鶴!
釧路の青空とどこまでも続く大草原。
そこに白く輝く鶴。
走ってきた甲斐があった。
釧路万歳。
なわけがない。
全部展示だ。
でも本物と見紛う背景の絵と、鶴の像。
展示クオリティすごいので、おすすめ。
土器を展示している部屋は無料で見ることができる。
↑よーく見ると、土器の間に土器じゃないものが…。
↑温度、湿度計だった。
半世紀も経てば、土器とスマートフォンは同じガラスケースの中に展示されていても、まったく不思議じゃないだろう。なんて思う。
これで、だいたい釧路は見れた。
それでも、まだ時間があるので、フィッシャーマンズワーフMOOで暇をつぶす。
そして、やっと晴れてきた。
遅れてやってきた台風一過だ。
↑雲が丹頂鶴のよう。
↑急に、いい天気。
ぼーっとして過ごして、時間になったので、駅へと歩く。
最後に駅だけ紹介しておきたい。
個人的に釧路駅、かなり好き。
↑駅ナカに古本屋。本は安く、買取も行っている。
↑金券ショップ。やってなかったけど、うさんくささがいい。
↑昭和館満載のなつかし感。だれがみてもなつかしいと思わず口にしそう。
↑コッペパンの種類が豊富なパン屋さん。
↑買ってしまった。ポテトサラダのコッペパン。
そして、そして、やっとこさバスの時間。
バスに乗る前に、7日間乗り放題のフリーパスポートを購入した(11000円)。
↑こちらのバスに乗って、出発。
青年は、とうとう、一つ目の湖、阿寒湖に向かう。
これがこの旅での最初で最後の湖になるとは、この時まったく想像していなかったのである。