道東ろぐ13 〜バスは停まっても遊覧船は動くんだ〜
ここまでくると、大自然に身を任せたほうがいい気がしてくるものなのだ。
スマホの電波もなくなり、そわそわしてきたので、阿寒湖温泉への帰路を急いだ。
▲果てしない道
▲変わる景色といえば、通り過ぎる自衛隊の車だけ。
▲戻った
あれだけ自衛隊の車が走っていたけど、阿寒湖温泉に停まる車は一台もなかった。
もっと山の奥の方に助けがいる人がいるのだろう。
とりあえず、電波が欲しいので、街中のホテルを巡ってワイファイを貸してくれないか頼むことにした。
恐る恐るホテルに入ると、中は真っ暗。停電だからもちろん電気がつかないのだ。従業員を呼んで、ワイファイを貸してくれないか交渉してみたが、「停電なのでワイファイ自体作動していない。」と、断られてしまった。そりゃそうだ。
ただ、そのホテルの人から、近くのホテルが自家発電装置を使っていて、ワイファイが使えるかもしれない、と教えてくれた。
そのホテルは、「阿寒湖畔温泉 ニュー阿寒ホテル」という大きなホテル。
そこへ入ると、確かに他のホテルが真っ暗な中、電気がついていた。まるで通常時と変わらない。
フロントでワイファイについて尋ねてみると、快く承諾してくれた。
嗚呼、ワイファイ。
嗚呼、電気。
普段どれだけ電気に依存しているか、人間よ。
数時間ぶりに、ネットに繋がりまずは地震に関するニュースを検索した。
状況はあまり変わっておらず、停電復旧には最大1週間以上時間がかかると書かれていた。
どうしようも無い。
帰りの飛行機も探してみたが、もちろん満席。
どうしようもなかった。
電気がついているホテルのロビーは、停電であることを少しばかり忘れさせてくれた。これだけでも、精神的には休まった。
もう阿寒湖温泉からしばらく出られないし、スマホをいじっていても電池が減るばかり。
ここまでくると、大自然に身を任せたほうがいい気がしてくるものなのだ。
開き直って、散策することにした。
ホテルを出て、阿寒湖の辺りを歩いた。
▲透き通った阿寒湖
▲ふと、見上げると遊覧船がある
「遊覧船に乗るのもありだな。」と思った。
振り返っても、自分の開き直り方に感心する。
「でも、バスも停まってるのに、流石に遊覧船を動かしてなんかいられないでしょ。遊覧船を動かす燃料があるなら、バスに回してくれよ。へへ。」とも思った。
遊覧船のチケット売り場に近づくと、窓口にはおっさんがいる。
「流石にやってないっしょ」と思いつつ、「遊覧船って動いてます?」と聞いてみると、二つ返事で「動いているよ。もうすぐ出ちゃうよ。」とおっさん。
???
「乗ります。」
状況を整理しきれないが、二つ返事で遊覧船のチケットを買った。
さあ、阿寒湖のまりもを見よう。
▲遊覧船「すずらん」へ。