インドろぐ7 〜チャンディーガルの光と影〜
天窓から自然光が入射して、斜めに影を落とす。
キャピトルコンプレックスの見学を終えたので、近くにあるネック・チャンド・ロック・ガーデン/Nek Chand Rock Gardenを観に行くことにした。
Welcome | Nek Chand Foundation
↑入り口のモニュメント
ロック・ガーデンはチャンディーガルの観光名所である。
ネック・チャンドは、ロックガーデンを作った人の名前だ。
チャンディーガルは、何もない場所に作られた都市である。
一つの都市を作るのに、大量の廃材が出た。当時、道路検査官であったネックチャンドが、廃材を収集して森の中に並べた。密かに行われていたこの作業が、1975年に見つかってしまう。これらの廃材は、処分されそうになったが、価値を認められて公園づくりが公の元行われた。
まさに、端正なグリッド都市であるチャンディーガルの都市計画の裏の顔。光に対する影。
都市計画が作り出した産物と言っても間違いではないだろう。
非常に数奇な公園である。
ロックガーデンには、多くの人が詰め掛けていた。
入場に際しては、券売所でチケットを買う。30ルピー。安い。
↑入ると、早速タイルと変な置物が並んでいる。
↑これは、コンセントを並べたものらしい。
骨みたいだ。
↑ツボみたいなものが積み重なって展示されている。
↑と思えば、ガウディみたいな感じだったりもする。
↑ロックだ。
↑少し進むと、大きな広場に出る。写真右で、インド人の女学生が写真撮影をしていた。しかも、スマホで大音量のクラブミュージックをなぜかかけ始め、会場全体異様な雰囲気に……。
↑広場の横も撮影スポット。
↑廃材の橋
↑最終地点には、人間の像が。
↑にわとりかな?
ということで、永遠と廃材で作られた作品を観ながら、いや、もう公園全体が廃材で作られているから全てが作品で、その中に身を置くという経験ができました。
ただ、非常に順路がわかりにくい。
2回ほど怒られてしまった……。トホホ……。
インド人のインスタスポットになっているようで、写真撮影するインド人が多いことにびっくりした。
さて、ロックガーデンの見学を終え、次に向かうべきは、スクナ湖かセクター17(中心部)に行くかで迷う。
オートリキシャと交渉してみると、セクター17までは結構金がかかる。まあ、高額な料金をふっかけられているのだが。
なんだか、一晩ホテルのベッドで寝て元気になったから、今日は歩ける。できるだけ、お金は使わないで、チャンディーガルを足で感じよう、と思い直し歩くことに。
次なる目的地は、政府博物館&美術館とした。
これまた、コルビュジエの設計だ。
チャンディーガルの道は、やはりだだっ広くて、どこまでもまっすぐだ。車にとっては非常に良い場所だろう。
ただ、広いのは車道だけではない。歩道の幅も鬼広い。
というか、車道といい勝負である。
実際にはほとんどが土で、木が生えている。
舗装されている部分は少ないが、歩いていて気持ち良い。
ただ、歩道もどこまでもまっすぐなので、なかなか歩くのには辛い。
歩道を歩いているものの、退屈である。
歩道に隣接して、右側に公園があった。
柵がずっと続いていて、なかなか入れないが、やっと入り口を見つけることができた。
↑公園の名前は、レジャーバレー/Leisure Valley
チャンディーガルの都市計画では、余暇空間として大きな公園が配置されている。まるでヨーロッパのようである。ただ、そこにいるのはインド人。なんだか不思議な世界だ。
↑公園のゴミ箱のデザインが面白かった。
↑インド人のリア充学生が遊んでいた。
チャンディーガルに住むインド人は裕福であるらしい。
↑公園の出口までついた。非常に明快な都市だ。
↑公園内には、アートモニュメントがある。
本当にインドとは思えない。
しばらく歩くと、政府博物館&美術館/Government Museum and Art Galleryに到着した。
入場料は10ルピー。
カメラ持ち込み料で、プラス10ルピー。
安すぎる。
もっと取っていいぞ。
大きな荷物は、持ち込みを許可されないので、受付で預かってくれる。
ロッカーに入れるというよりは、受付のカウンターの上に放置されるだけだが……。
↑ピロティ
↑内部のスロープ。国立西洋美術館を思わせる。
↑全体を通じて、 天窓から自然光が入射して、斜めに影を落とす。
↑展示室の様子
↑斜めに入る影が美しい。
↑展示されていた作品。かつてのチャンディーガルを描く。魚眼マップだった。
やはり、重厚感のある建築に圧倒された。
建築以外に、インド人アーティストの作品が興味深かった。
古代から現代に至るインドのアートを展示しているが、インドの現代アートを見る機会というのはなかなかない。そして、見たことない人にとっては、想像できないだろうと思う。
想像できなかったから、インド人のアーティストがこんな絵を描くんだと、純粋な驚きがあっただけかもしれない。
中には、コルビュジェの作品も展示されている。
政府博物館&美術館を見終えると、すぐ隣のチャンディーガル建築博物館/Chandigarh Architecture Museumへ。
↑外観
↑入り口
↑入り口に入ってすぐのサイン。
チャンディーガル建築博物館には、チャンディーガルの建設当時の設計図面や歴史などが展示されている。特に、手書きのドローイングや模型などもあり、長い時間飽きずに見ていられる展示だった。
入場料は、20ルピー。
カメラ持ち込み料は、別途10ルピー。
安すぎる。
もっと取っていいぞ。
実は、最初にチャンディーガルの都市計画を担当したのは、コルビュジェではなかった。このアルバート・マイヤーとポーランド出身の共同設計者のマシュー・ノヴィッキであった。ノヴィッキが航空機の事故で命を落としたため、二人に代わってコルビュジェが任命された。
↑ノヴィッキによるドローイング
↑ノヴィッキによるドローイング
↑マイヤーによる計画図。現在のチャンディーガルとは全然異なる。
↑マイヤーの街区デザインは、現在のチャンディーガルにも採用されている。
↑博物館2階の内観
僕が2階に上がるタイミングで、停電したらしく、薄暗い。窓があるので問題はない。
↑チャンディーガルの全体像
↑コルビュジェのモジュール!
↑コルビュジェのドローイング
↑コルビュジェのドローイング
↑コルビュジェはチャンディーガルを計画するときに、人体に見立てて機能を配置した。ただこの計画図は心臓みたいだと思った。
全ての展示を見終えて、1階に降りると、真っ暗!
そうか停電してたのか、とここで気づく。
1階は窓がないので、停電になると展示を見ることはほぼ不可能だから、ギリギリセーフだった。
運がいい。
↑真っ暗な館内から出口へ。光が美しかった。
次は、自然史博物館へ行きたい。
が、腹が減ったので、昼食を先に取りたい。
近くにお店はなさそうなので、公園に屋台とか出てればいいなと思って、隣接する公園の方へ向かう。
すると、公園から賑わっている人の声が聞こえてきた。
↑駐車場には、クラシックカーが展示されていた。
ローズ公園の入り口に行くと、ローズ祭/Rose Festivalがちょうど開催していた。
ローズ祭がなんなのかはよくわからない。
が、屋台とかがありそうだ。
建築見学を堪能して腹ペコになった青年は、インド人で賑わう祭の会場に向かって歩き出した。