インドろぐ14 〜パスポート紛失ろぐ1、インドの警察はじぇんじぇん働きません〜
頼む、インドの警察。
午後になって目が覚めた。
熱はだいたい引いていた。
体調も昨日よりは断然良くなった。
パスポートを紛失したらどうすればいいか、をインターネットで調べた。
インドでパスポートを失くしたことのある人のブログは非常に参考になった。
日本に帰るためには、パスポートの再発行もしくは、帰国のための渡航書の発行の2択の選択肢がある。
どちらにしても、まずは紛失、盗難のあった場所の警察で紛失証明書(ポリスレポート)を発行してもらい、その他必要書類を用意して大使館に行く必要がある。
バラナシでやるべきことは、警察でポリスレポートを書いてもらうことだ。
ゲストハウスのスタッフのインド人の方が、一緒に警察まで言ってくれることになった。
これが、バラナシに来てから初めての外出である。
行く前に確認されたのは、どこで失くしたかと書かれた時は必ず、「ムガルサライからウッドリア交差点までの間で失くした」と答えろということだ。
実際に、僕はどこでパスポートを失くしたかは分からない。
一番考えられるのは、もちろん、寝台列車だ。
腹を壊して、一晩トイレにこもっていた間か、席に戻った後、うとうとしていた時かは定かでないが、盗られる隙、落とす隙はたくさんあった。
しかし、インドの警察は、自分の管轄以外の事件については全く働かないらしい。
だから、ここでポリスレポートを得るには、バラナシで失くしたことにすることが必要だった。
警察署は、ゲストハウスから5分くらい歩いた場所にある。
軍人のような制服を着て、長い拳銃をもっている警官がたくさんいた。
僕がパスポートを紛失したことを、ゲストハウスのスタッフの人が警察に言うと、奥の部屋に通された。
中には、警察官が3人ほどいた。
ゲストハウスのスタッフは、まだ若い青年だが、警察官に事情を話し始める。
結構長い間話すが、なかなか聞き入れてもらえない感じだった。
頼む、インドの警察。
言語も分からない。だけど、できるだけ耳を研ぎ澄まして、表情を見て、インド人の会話を追う。
すると、やっと、警察が動き出す。
真っ白のコピー用紙が渡された。
すると、必要項目を口頭で指示された。スタッフの青年と二人で名前やパスポートナンバー、父親の名前などを書いた。
そして、パスポートを失くしました的なことを、インドの言語でゲストハウスのスタッフが丁寧に書いた。
インドの警察は働かないという意味がわかった。
全部スタッフの青年が書いてくれているのだから。
書きあげた紙を再び警察に見せると、それをまた渡される。
スタッフの青年はそのまま警察署を出るので、僕はついていく。
ポリスレポートは警察のサインをもらうはずだ。
もらえなかったのか……。
少し焦るも、スタッフの方を信じてついていく。
すると、近くの小さな店に立ち寄った。
何の店かな、と不思議に思う。
すると、青年はコピー用紙にさきほど書いた内容を清書し始めた。
書き終わると、その店でコピーを取ってもらった。
そう、この店はコピー屋さんだったのだ。
僕はいくらかのお金を払い、また警察署へ向かう。
警察署に着くと、また先ほどの部屋に通され、先ほどの警察官に紙を渡す。
なぜか、名前を聞かれた。素直に答えると、めっちゃ笑われた。なんで笑うのかはわからないが、良い気持ちはしなかった。
その後、警察のハンコと、日付やサインを書いてくれた。
これが、ポリスレポートになったのだ!
イメージしていたのは、印刷されたしかるべき用紙に、記入するものと思っていたからびっくり。
全部手書き、しかも警察官が本文を書いたわけではない紙が、サインが入ったことでポリスレポートになるのだ。
目的は達成したので、ゲストハウスへ帰る。
写真を全然撮っていないと思い、この間に写真を何枚か撮った。
ゲストハウスに帰った後、薬を買いに行ったほうがいいと言われ、近くの薬屋に。
↑薬屋
症状を聞かれるも、うまく答えられないので、お腹痛いジェスチャーをすると、いくつか薬を出してくれた。
値段は、70ルピーくらいだっただろうか。
下痢は英語で、diarrheaだ。
インドに行く人は覚えておきましょう。
↑こんな薬(帰国後撮影)
粉薬は怖くて飲まなかった。
そんなこんなで、部屋に戻る。
先に挙げたブログを見ると、警察からもらうポリスレポートは二つあると書いてあることに気づいた。
紛失証明書と追跡証明書だ。
前者は、失くしましたということの証明書。
後者は、探したけどやっぱり見つからないということの証明書。
追跡証明書をどうすればいいか、ゲストハウスのオーナーさんに相談すると、とりあえず、今日紛失証明書をもらったので、今日はもらえない。明日、もらいに行くのがいいという結論になった。
ただ、インドの警察が同じような証明書をまた書いてくれるとは思えないという見解だった。
先に書いておくと、追跡証明書は必要無かった。
もしかすると、さっきもらった紛失証明書の中で、追跡証明の内容も書いていたのかもしれない。真相は不明だが、無くても問題無かった。
当時の僕は、追跡証明書が手に入るかが心配であったが、今日は無理ということで、部屋に戻ってもう少し寝ることにした。
寝る前に、シャワーを浴びた。
久々のシャワーだ。
お湯と供に、これまでのさまざまな苦労や思いが流されていく。
さて、これからどうなるのだろうか。
旅の目的はどこかへ消え、日本に帰るための旅となっていた。