ゆるろぐ -Urbanisme Log-

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都市生活屋のブログ

6時間で巡る武雄温泉2 〜辰野金吾の建築編〜

辰野金吾の建築の一部になることができる非常に稀有な体験 

 

意外と見所の多かった武雄市役所を後にして、炎天下の中温泉を目指す。

 (↓前回の記事)

urlog.hatenablog.jp

 

 

▲市役所について、書きすぎて忘れてしまった方のために、ルートを再掲。

 

 

 

温泉街のスナック街

温泉までは、北へ歩いていく。

温泉目指して歩く途中、人をほとんど見かけなかった。

炎天下のせいなのか、それともやはり地方都市、元からこんな感じなのか。

 

気になったのは、スナック街を内包する横丁建築が多い。

温泉街ということで、温泉とセットで夜の街が賑わったに違いない。

 

 

▲非常に気になるかたちのビル

 

▲中を覗くと、通路に張り付く部屋、部屋、部屋。そう、スナック街。

 

▲ほとんどのビルは寂れているけど、鉄筋コンクリートのスナックビルも発見した。

通路を内包することで、商業建築としては、効率の良い店舗配置が可能になったのだろう。

 

▲元々の木造の住宅のファサードを覆い隠すように張り出した商店。こういうハリボテのファサードを備えた建物は全国に見られるが、偽看板建築とでもいうのだろうか。取っ払った方が絶対にいい。

 

美しい風景を持つお寺 〜廣福寺〜

そんなこんなで歩くこと10分、温泉の門が見えたところで、隣にこんなお寺の門前が見えた。

 

▲奥に行ってみたくてしょうがなくなる光景

 

まるで、空想の世界のような、よくできた日本の夏といった風景に誘われて、並木の入り口まで足を運ぶ。息を飲む美しい風景がそこにはあった。

 

▲美しいアプローチ。

 

この美しいアプローチを持つお寺の名前は、廣福寺。

www.takeo-kk.net

かの有名な運慶が作った四天王立像があるとのこと。

僕が訪れた日は、見学できなかったが、この門前の風景を見るだけでも行く価値はあると思う。

 

▲並木を抜けた先には、お寺への階段。

 

▲お寺の門

 

とうとう着いた、武雄温泉楼門と温泉資料館

ノーマークだった、廣福寺の隣には、武雄温泉楼門が見える。

 

▲武雄温泉楼門

 

こちらの楼門の設計は、東京駅の赤煉瓦の駅舎を設計した辰野金吾

建築に詳しくなくても知っているであろう、ジョサイア・コンドルに師事した、東京大学造家学科1期生である。

なぜ、辰野金吾の建築が武雄にあるかといえば、辰野金吾の出身が佐賀県だからとのこと。

 

▲楼門の下から敷地内をみる。

 

▲こちらも辰野金吾設計の武雄温泉新館。昔は温泉施設であったが、今は資料館として解放されている。

 

▲ドドン!

 

▲車、ドドン!

何が残念かといえば、建物のすぐそばまで駐車スペースになっていること。もうちょっと人間のための広場とかにしてもいいのではと思うけど、まあこれもこれで使われ続ける温泉としていいのかもしれない。

 

▲2019年7月現在。内部の見学は無料!嬉しい!

 

これまた文字を書きすぎてしまうので、写真で紹介するよ。

 

▲廊下。外観に反して、内部は非常に高級感のある落ち着いた空間。

 

▲脱衣所から見る浴場。

 

 

▲浴場(入れます)

 

▲天井のかたちが面白い。

 

▲番台

 

▲2階より楼門を望む

 

▲2階には大きな畳の間。

窓の外には、先ほどの浴場の面白いかたちの屋根が見える。

 

▲浴場の屋根

 

▲2階の廊下。外装の赤が映える。

 

こうして、一通り見学を終えて1階に降りようとしたところで、足に激痛を覚えた。

辰野金吾の建築に胸を打たれたのだとしたら、痛いのは胸のはず。なぜ、足なのか。

なんと、辰野金吾の建築が僕の身体に入り込んできていたのだ(木材の破片が足の裏に刺さってしまったのだ)。

我慢できないほどの痛みだったので、1階の売店のおばちゃんに相談すると、商品のピンセットを貸してくれた。

優しいおばちゃんで、全て許しました(おばちゃんが悪いわけではないし)。

辰野金吾の建築の一部になることができる非常に稀有な体験でした(謎)。

 

▲応急処置道具。こちらのピンセットは商品なのだけど、めちゃくちゃつまみやすいので、お土産におすすめしておきます。

 

無事、破片を取り除くことができたので、とうとう温泉に入ることにする。