ゆるろぐ -Urbanisme Log-

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都市生活屋のブログ

インドろぐ15 〜ガンジス川のプージャを見て涙がこぼれた夜〜

僕は、まぎれもなく、今、インドにいる。

 

シャワーを浴びて、少し休憩した後、外へ出ようと思った。

 

というのも、ゲストハウスのオーナーさんに、「せっかく来たなら夜のプージャを少し観に行けるといいね」と声をかけてもらったからだ。

 

その時、プージャが何なのかは全く知らなかった。

 

バラナシに到着する前から、腹が壊れ、バラナシの観光を考える暇なんてなかった。

 

なんかお祈りらしいということをなんとなく理解したが、体調も少しよくなったので、何より、観光しないともったいないので、外に出ることにした。

 

ゲストハウスを出たのは、19時前くらいだったかと思う。

 

オーナーさんには、もうプージャは終わりの方かもしれないけど、まだ間に合う、と言われ、ガートまでの行き方も丁寧に教えてくれた。

 

プージャが行われているのは、ダシャーシュワメード・ガートだ。

ゲストハウスからは歩いて2分でダシャーシュワメード・ガートに着く。

ルドラゲストハウスは最高の立地だ。

 

↑ダシャーシュワメード・ガートへ降りていく階段

 

ダシャーシュワメード・ガートに近づくと、音楽が聞こえてくる。

そして、昼間よりも少ないが、大勢の人が階段に座っていて、奥にオレンジ色の服を着た僧侶が舞っているのが見えた。

 

音楽は大音量で、その音に合わせて僧侶が踊る。

観客は、それを黙って見つめる。

 

↑いろんなところから眺める人。

↑階段は劇場の観客席に。

↑よーく見ると、川から船に乗って見る人が大勢いる。

↑観光客は、大きなカメラを構えて観客の表情を撮影する。

 

とても異様な雰囲気だった。

夜だから、昼よりは少し気温は下がっていたが、空気感だけは高揚していた。

 

僕は、カメラを構えて何枚もシャッターを切る。

 

時に歩き回りながら、時にインド人に混じって階段に腰をかけて。

 

 

階段に腰をかけると、カメラの電源を切った。

 

なぜか、涙がこぼれた。

 

突然のことに焦ったけど、周りはインド人だから、恥ずかしがる必要もない。

 

だけど、やっぱりこらえる。

 

これまでに自分の身に起きたこと、インドという国が僕にしたこと。

 

そして、今目の前にある風景は、インドで長い年月をかけて育まれた文化であり、インドで生まれた人はまん丸の眼でそれを見つめる。

 

途方もない年月と、継承されてきた文化、重畳する歴史。

 

これは毎晩行われるいつものお祈りに過ぎない。

 

それでも、日本人の僕は今日この祈りを見ている。

 

お腹の強さはインド人とは全く違うし、インド人になることなんてできない。

 

プージャを見て、インドの文化を見て、やっぱりインドは日本とは違う場所で、違う歴史を辿ってきたことを知る。

 

人類の長い年月のうえに、僕は生きている。

 

ただ、それだけは分かる。

 

涙がこぼれた。

 

心が動いたのを感じることができるくらいには、その場の空気に酔っていたのかもしれない。

 

途方もなく遠いところに来ている気がした。

 

僕はひとりぼっちなんだ。

 

↑川へ入る雁木から眺める人。

 

20分ほどでプージャは終わった。

 

↑僧侶たちが、ガートを降り、船へ乗り込む。

↑沖へ去っていく。

 

 

↑ガンガーへ降りる雁木には、部分部分に石材の台座が埋め込まれている。高級感のある素材、何に使われるものかはいまいち分からないが、文字が刻まれている。

 

↑そんな台座の上に酔っ払って倒れこむ欧米人。インドで酔っ払って倒れる勇気に乾杯したい。

 

↑祈りが終わると、先ほどまで僧侶が舞っていた台座の近くに人が集まっていた。何かを撮影している。

↑お金をおく人。

↑花火も打ち上がる。

↑実は、花火は先ほど川へ漕ぎ出した僧侶の船から上げられている。

↑祈りの後には、マイクに向かって歌い出す僧侶。

みんなでバンザイしながら「イェイ」と叫ぶ観客参加型のパフォーマンスになった。

宗教的祈りが急にライブみたいになって面白かった。周りの人と一緒になってバンザイしながらイェイと叫んだ。

インドは不思議な国だ。

 

↑プージャは終了。

少し周りを歩いてみることにした。

↑聖なる動物の牛さん

↑舞いをする僧侶が手に持つもの。

プージャ終了後も、燃え続けていた。

↑僧侶が舞っていた台を片付ける人。

ちゃんと掃除するんだなー。

 

プージャを見終えてゲストハウスへ戻った。

ずいぶん心が洗われた気がした。

 

でもやっぱり気分は優れない。

 

渡航書発行に必要な手続きをまたスマホで調べながら、青年は眠りについた。