とりあえず、寝よう!
ゲストハウスに入ると、日本人の女性の方が迎えてくれた。
と、物語を進める前に、今回本当にお世話になったゲストハウスを紹介したい。
バラナシのゲストハウスで、最も勧めたい最高のゲストハウス、
その名も、「ルドラゲストハウス」。
日本人のあきこさんと、インド人の旦那さんのさんちゃんが切り盛りしているゲストハウス。
さんちゃんは、日本語を話すこともできる。
チャンディーガルの宿で、バラナシの宿を調べるときに、面倒臭かったので、「バラナシ、おすすめ、ゲストハウス」で検索したところ、以下の記事が出てきた。
これを見て即決した。
このとき即決して本当によかった。
この宿にしてなかったら、僕は死んでいたかもしれない。
これはおおげさじゃなくて、本当にそう思う。
着いてすぐ、夜行列車で起きたことを簡単に話し、とにかく寝て休ませてほしいと伝えた。
本当は、ドーミトリーの部屋を予約していたのだが、僕の体調を気遣ってもらい、個室に変更してもらった。
ありがたい。
早くゆっくり休もう。
チェックインを行うために、パスポートが必要なので、肩からかけている小さなバッグの内側のチャックを開け、パスポートを取り出そうとする。
いつもあるはずのそこに僕の赤いパスポートはない……。
……。
……。
ありゃ……。
いやいやいや……。
小さいカバンの全てのポケットを確認するが、全く出てこない。
やってしまった……。
バックパックの全てのチャックを開けるが、やっぱり出てこない。
僕のバッグはどこか違う場所に繋がっていて、そっち側から抜き取られてしまったのではないか。
やはり状況が理解できない。
慌てながらも、途方にくれる。
と、あきこさんに、「とりあえず、寝よう!」と言われた。確かに、思えば、体調が悪すぎる。
部屋を開けてもらい、荷物を運び込む。
列車内では、宿に着いたらシャワーを浴びようと思っていたけど、もはやそんな余裕もない。
あきこさんは、インド版のポカリスエットの粉を出してくれて、スポーツドリンクを作ってくれた。
そして、やはりインドの下痢には、日本の薬は効かないので、インドの薬をもらい、とりあえず一錠飲んで、ベッドで横になった。
個室、広いベッド、清潔な部屋、天国だった。
パスポートをどこで失くしたのか、それとも盗られたのか、少し振り返って考えようとして見たけど、疲労がすごくて、すぐに眠った。
久々の安眠でぐっすり眠れるが、やはり下痢は止まらないので、便意とともにトイレへ起きる。
そして、起きるたびに、水分を補給した。
深夜に目覚めた時には、ひどい高熱だった。
体温計がなかったから、果たしてどれほどの高熱だったのかはわからない。それはそれで心配ごとが増えないから、よかったかもしれない。
朝になると、熱はだいぶ下がっていた。
あきこさんも様子を見にきてくれた。
何か食べれそうだったので、バナナをもらった。
バナナは、皮を向けば中は新鮮だから、安全だ。
↑バナナはすごい。自然の恵に感謝。
薬も一錠飲んだ。
落ち着いたので、ここでもう一度バッグを開けて、パスポートを探して見た。
でもやっぱりない。
夢じゃなかったんだな…。
青年は、全てを受け入れた。
再びベッドに戻り、昼下がりまで眠りについた。